万能牌のある 麻雀

万能牌 ――なんの代用にも なる牌―― を つかう 麻雀は、日本では けっして 主流では ないが、それなりに 実践されている。近年 一部で はやりだした 「少牌マイティ」や、白が 万能牌に なる 「白マイティ」が、代表的である。

Allen製 麻雀アプリ でも、「少牌マイティ」や 「白マイティ」を 実装している。ほかに、中国 各地、マレーシア、アメリカ、フィリピン などでも 万能牌は つかわれる。雀荘で つかわれる 「白ポッチ」も 万能牌の 一種と いえる。名称は 百搭 (パイター)、聴用、ジョーカー、癞子 (ライツ) など さまざま ある。この記事では 「万能牌」で 統一し、「🀪」の絵文字を つかう。

万能牌を いれると、既存の規則との 整合性が いろいろ 問題に なる。一部の問題は、同一牌の個数を 5個以上に 拡張 したときの 問題と 共通する。これらに ついて まとめた 記事は 意外と ないようなので、Allenが 以下に まとめてみた:

和了判定

電子ゲームの 麻雀 (以下 アプリ麻雀) で 万能牌を 実装するときの、第1の 関門。

和了判定には、和了か どうかの 判定を する 段階と、手役判定のために 門子・雀頭に 分解していく 段階に わかれる。

1つめの段階では、「万能牌を ふくまない 手牌の 向聴数」-「万能牌の個数」で 向聴数を もとめて、-1以下なら 和了と すると よい。

次に、門子・雀頭に 分解する。これには 2つの方式が ある:

多門張

万能牌が あると 圧倒的に 多門張に なりやすい。リアル麻雀では、和了を みのがしたり、フリ聴に なったり、という 問題が おきる。じっさい 「少牌マイティ」では おおくの プレイヤーが 混乱している。

また、立直が はるかに 強力になる。それを おさえるために、即・裏ドラを なしに する、なども かんがえられるが、デフレ させるのは うけが わるいだろう。

万能牌の 単騎まちだと なんでも 和了できる。配牌以外だと かならず フリ聴である。「無限単騎」とも よばれるが、以下のように、和了牌を 雀頭では なく 順子や 刻子に とったほうが 得な 例も ある:

点数計算

和了形が 複数とおりに 分解できるとき、たいていは、「たかいほうに とれる」と 説明される。しかし これだと、ほかの 規則との かねあいに よっては、ややこしい 問題が おきる。

ドラの カウント

たとえば、ドラが 🀜のとき、万能牌を 🀜として つかえば、それも ドラとして かぞえるのか、という 疑問だ。Allenの アプリでは こういうのも ドラとして かぞえる。世間の 「少牌マイティ」でも こうしている。

しかし、「白マイティ」に おいては、「ドラを かぞえるとき、🀆は 🀆として あつかい、代用する牌としては あつかわない。」という規則が 一般的なようだ。おそらく、ドラ表示牌が なんであっても つじつまを あわせるためか。

また、万能牌が 裏ドラ表示牌に なったときは、和了者が 高得点法で きめる、という 村規も あるようだ。つまり 杠を していれば ドラ4となる。

Allenは、ドラ表示牌を 撤廃して、別枠で 局ごとに ランダムで きめるように しており、花牌や 万能牌は ドラの候補から 除外している。そのため、ドラ表示牌が これだったら… という 規定は いらない。

万能牌の 使用条件

万能牌を 文字どおり なんにでも つかえることに すると、すぐに 和了形が できてしまい、手役が できづらくなる、という 弊害が ある。これを 解決するためか、いろいろ 制約を つけることも ある。

また、万能牌を 花牌や赤牌などの 特殊な牌に ばけさせても よいのか。

5個以上の 同一牌 (五帰一、六帰一…)

ふつうの麻雀では たいてい、3門子+🀀🀀🀀🀀 という形は ノー聴として あつかう。5個目の🀀は 存在しないため、和了形に ならない、と 説明される。ただし、牌が かれているかの 判定には どこまで 参照するのか、という点で あらそいが ある。「純手牌」まで? 副露も ふくめた 自手牌全体? 場の牌まで?

しかし、同一牌を 5個以上 いれる 規則、または 万能牌を 採用する 規則では、ふつうの 麻雀では ありえない、同一牌を 5個以上 つかう 和了形も 想定される。つまり、🀀🀀🀀🀀🀪を 🀀🀀🀀+🀀🀀として あつかう、などで ある。Allenは 容認している。

白ポッチや 少牌マイティを 採用する 雀荘では、同一牌は 4個までしか つかえない、という規則が おおいようだ。つまり、ふつうの 麻雀で ありえない 和了形を みとめない、ということだ。そうすると、やや ふしぎな 現象が おきる。たとえば、🀒🀒🀒🀔🀔🀔🀁🀁🀁🀃🀃🀃🀪 という手は、無限単騎の形だが、🀁や🀃では 和了できず、🀒や🀔では 和了は できるが 🀒🀓🀔の順子に なるため 四暗刻に ならない。

なお、日本 4人麻雀では たいてい、七対の 4丁づかいは みとめられない。その ばあい、「同一牌4個を 2+2に わけるのが ダメなら、5個を 3+2、6個を 3+3、とかに わけるのも ダメだろう。」と感じる人が いるかも しれない。だが、「1種の牌で 複数の 刻子や対子を 構成しては いけない。」という説を Allenは きいたことが ない。

また、杠の発展形として、5個以上の同一牌による 門子も 想定される。Allenは 実装していないが、以下のような 規則が ある:

関係ないが、将棋の駒は 金は6方向、銀は5方向、銅は4方向 だから、銅杠、銀杠、金杠は 1ずつ ずれている。

杠子の符は 刻子の 4倍だから、その要領だと、幺九字牌の「暗鑽杠」 (豪鑽杠 と よぶようだ) は 8192符となる。

万能牌を ふくむ 副露

万能牌を ふくむ 門子で ポン・チー・杠を して よいのか。

ポンの重複

1つの すて牌を 複数人が ポンしようと したら、上家優先に するのが 自然だろう。

「同一の発声は 上家優先」で 統一 (Wロンは 頭ハネ) すると、スッキリする。

万能牌を すてる

万能牌を すてて よいのか。

Allenの 「白マイティ」では、🀆を すてられない 仕様に しようと したが、すてる牌が ない 事態を ふせぐ 工夫が たいへんな ため、あきらめた。

無財

万能牌を つかわずに 手を つくると ボーナス点を あたえる、という かんがえ。

「純正」などとも いう。

白マイティでの 小三元・大三元

Allenは、「万能牌のみで 門子・雀頭は つくれない。」と しているため、「白マイティ」では 小三元・大三元は 存在しない。

ただし、🀆🀆🀙🀚🀛🀟🀟🀟🀅🀅🀅🀄🀄🀄 のような手牌は、🀆🀆を 🀙🀜や 🀠🀡と みなして 和了形と なるため、ノー聴では ない。

そもそも、上の手牌から どの1個を とりのぞいても、「無限まち」の形に なるため、配牌で この形で なければ、最低1度 和了を 拒否しないと この和了形に なりえない。

もし 「白マイティ」で 小三元・大三元を みとめても、実戦での 出現は ほぼ 皆無だろう。